(7)ボクシング世界王者のタトゥー問題について

あるボクシングの世界チャンピオンのタトゥー問題について、議論が起こっています。刺青のある者は、リングに上がってはいけないとJBCがルールに定めているからです。

つまり、刺青がある選手は、ファンデーションやテーピングで刺青を見えないようにしてリングに上がる必要がありました。しかし今回選手は、刺青を隠すことなく(薄くファンデーションを塗っていたようですが)試合を行いました。

選手はなぜ刺青を入れたかについて、「復帰のきっかけ、本気でやる、これをしたら逃げられないという決意表明と、入れても後悔しないという思いで入れた。日本の世界王者で入れてる人はいないと思うが世界では入れている」と語っています。また、「海外の選手が日本のジムに所属して日本で戦うのは可能なのに、日本人ではダメなのも一貫性がない」「人はパフォーマンスを見に来ている。和彫、洋彫などタトゥの細かいことはどうでもいいこと」とも述べています。
これについて、同じくボクシングの井上尚弥チャンピオンは、「タトゥー、刺青が「良い悪い」ではなくJBCのルールに従って試合をするのが今の日本で試合をする上での決まり事。このルールがある以上守らなければね。タトゥー、刺青を入れて試合がしたいのならルール改正に声をあげていくべき。まずはそこから」と述べています。ルールの妥当性はともかく、ルールがある以上はルールに従い、ルールがおかしいと思うなら、ルール改正を働きかけるべきという、とても妥当な意見だと思います。
またタレントの武井壮さんも、「オレは基本まず事前にあるルールは守るべき派 異論があるならルールを変えてからタトゥー入れるべきやなと思う」というアスリートらしい意見を述べています。
しかし世間の意見には、「タトゥー禁止などもう古い。海外選手のタトゥーは禁じられていないし、海外ではタトゥーなど当たり前」のような声も少なくありません。ここはぜひ、心理学的な観点も含めてタトゥーというものを考察してみましょう!

タトゥーのデメリット

タトゥーには基本的なデメリットがありますので列挙してみましょう。

①アレルギー反応(皮膚の発赤、炎症、皮膚の隆起、お肌がうろこ状に見える、入れ墨の周りの紫または赤の小結節)…このアレルギー反応を消すためには、タトゥーを除去する必要があるかもしれません。
②献血ができなくなります…著名なサッカー選手であるC.ロナウドは、この理由でタトゥーしないことで有名です。タトゥー後、最大1年間は献血の権利を失います。
③感染症…肝炎などに感染するリスクがあります。
④仕事の制限…いくらタトゥーが市民権を得ているとはいえ、一般に公務員や事務職では、他人から見えるような場所(首、顔、手など)にタトゥーを入れている人は採用しません。
⑤後悔…ある調査によると、刺青を入れた人の75%は、少なくとも一つの刺青について(後悔の理由はさまざまですが)後悔しているということです。
⑥それは永久的です…アメリカの刺青除去の業界は活況を呈しています。つまり一度は入れた刺青を消そうとしている人が大勢いるということです。しかし刺青の除去は高価であり、除去したとしても刺青を入れる前の無傷の皮膚に戻ることはありません。

タトゥーをしている人は、自傷行為をする可能性が高い

統計的に、刺青のある人は自傷行為をする可能性が高いようです。これは、タトゥーというものが「形を変えた自傷行為」であることを示唆しています。自傷行為をする人は、リストカットが自己確認の手段だと言います。リストカットや髪の毛を抜く行為などは、両親から愛されている実感がないとか、関心を持たれているという実感がないなどの場合の「子どもが自己確認する手段」だと言います。つまり、刺青はそうした無意識のネガティブな感情を、彼らなりに乗り越えようとして行う方法だと考えられます。しかし、それは本当に心の葛藤を乗り越える手段とはならず、一時的な慰撫、一時的な逃避ということになるでしょう。

まとめ

世界的(主に欧米で)にタトゥーを入れる人が増えたということは、世界的に、タトゥーを入れたくなる心理を持つ若者が増えた、と考えることができます。先に自傷行為との関連を見ると、それだけ心に葛藤を持つ子供が増えている、ということにもなります。子育てとの関連でも、目に見える現象だけでなく、「なぜ、それをしたがるのか」というところに目を向けてみると、また違ったものが見えてくると思います。
タトゥーを入れない多くのアスリート、例えばC.ロナウド選手や井上尚弥選手などを見ると、揺るぎない心を持っている人なのかな?と思います。

参考リンク

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